大崎上島町カーボンリサイクル関連施設の視察を行いました
会員向け活動の一環として、広島県大崎上島町にある、カーボンリサイクルに関連する施設(大崎クールジェン株式会社、カーボンリサイクル実証研究拠点)の視察を実施いたしました。
●開催日時 2025年1月15日(水)10:15~15:00
●開催場所 カーボンリサイクル実証研究拠点及び大崎クールジェン株式会社
■大崎クールジェンプロジェクト/大崎クールジェン株式会社
大崎クールジェン株式会社は、「革新的低炭素石炭火力発電」の実現を目指し、中国電力株式会社と電源開発株式会社の出資により、2009年7月に設立された会社です。大崎クールジェンプロジェクトは、上記「革新的低炭素石炭火力発電」の実現を目指すプロジェクトとして開始され、経済産業省・NEDOの支援を受けながら2012~2022年度の11年間で以下の3段階での実証事業が行われました。
2023年度からは、これまでの実証内容に加え、カーボンニュートラルに向けたさらなる石炭火力発電の可能性を追求するため、木質バイオマス混焼による酸素吹石炭ガス化複合発電の実証研究を行っており、現在はその実証データの取りまとめを行っています。
■カーボンリサイクル実証研究拠点の概要説明/JCOAL
こちらの拠点は、NEDOプロジェクトとして2020年下期より整備が開始されました。「基礎研究エリア」「実証研究エリア」「藻類研究エリア」の3区域で構成され、2022年5月に全エリアの整備が完了し、設備共用が開始されました。これまで拠点において、カーボンリサイクルに関する実証研究が11件進められており(うち1事業は終了)、大崎クールジェン㈱で分離・回収したCO2をパイプラインで拠点まで輸送し、大学や企業等が進める各種要素技術開発や実証研究に利用しています。
なお、技術視察や拠点内の研究者との交流を目的とした、国内外から多くの視察を受け入れており、前日までに205団体、2,102名を受け入れてるとのことです。
■海水を用いた有価物併産カーボンリサイクル技術実証と応用製品の研究開発/株式会社ササクラ・早稲田大学
こちらの研究では、海水に含まれるマグネシウムを利用し、炭酸マグネシウムとしてCO2の固定化を目指した技術実証を進めています。20t/dayの海水から、石膏、芒硝、食塩の生産を経ながらマグネシウムを高純度化させ、乾燥・脱水・熱分解プロセスにより生産した酸化マグネシウムに、大崎クールジェン㈱で分離・回収したCO2を添加して気固接触法で得られる炭酸マグネシウムは、コンクリートや建設資材としての利用が見込まれています。
■微細藻類由来SAFの製造に係る研究開発/IMAT(一般社団法人日本微細藻類技術協会)
微細藻類が成長過程で蓄える油脂を抽出して改質する技術を開発することにより、SAF(Sustainable Aviation Fuel)として脱炭素化に貢献する航空燃料の供給を目指しています。
環境調節することで多様な気候を模した環境下での微細藻類種の培養、乾燥・抽出工程を開発するとともに、それらの測定・分析手法や培養方法・条件の標準化に関する研究も行っています。
■まとめ
今回の視察では、カーボンリサイクルの基幹技術でもあるCO2分離回収技術や、分離回収されたCO2の用途として研究が進められている最先端の各種カーボンリサイクル技術について、実際に設備を見て、担当者より直接話を聞くことで、理解を深めていただきました。
参加者からは、「施設視察の貴重な機会をいただいたことに感謝。また人的交流も図ることができた」「実際の設備を見ながら説明頂くことで、よりイメージが鮮明となりました。また実証試験の移り変わりも改めて学び直す部分もあり、大変勉強になりました」といった、大変嬉しい感想をいただきました。今後も、会員の皆さまにとって有益なイベントや情報を提供してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。