リレーコラム

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CARBON CIRCULAR ECONOMY

Vol. 53

「微細藻類ガルディエリアを活用した未回収資源の循環利用」

CO₂を資源として活用する微細藻類ガルディエリアの可能性

 

株式会社ガルデリアは、強酸性・高温といった極限環境に生息する微細藻類「Galdieria(ガルディエリア)」を活用し、CO₂利用と資源循環を両立する技術の社会実装に取り組んでいます。ガルディエリアは、高濃度CO₂、低pH、高温といった過酷な条件でも培養可能な紅藻の一種です。当社では、この特性を活かし、工場などから排出されるCO₂を微細藻類の培養に利用し、得られたバイオマスを資源循環技術へ展開することを目指しています。

 

当社と広島県との関わりは、カーボンリサイクル関連技術の研究開発支援を通じて始まりました。広島県では、カーボン・サーキュラー・エコノミーの実現に向け、CO₂を資源として捉え、研究開発から実証、社会実装までを進める取組を推進されています。当社もその支援を受け、三井金属鉱業株式会社竹原製煉所様とともに、ボイラー排ガスを直接利用したガルディエリアの培養試験に取り組みました。

 

一般的な微細藻類の培養では、CO₂濃度や排ガス中の成分、培養条件の制御が課題となりうまく生育できない場合が多いのですが、ガルディエリアは酸性・高温環境に適応する特性を持つため、産業由来のCO₂を活用する培養技術との親和性がありました。竹原製煉所様との取組では、実際のボイラー排ガスを用いた培養に挑戦し、CO₂を単なる排出物ではなく、微細藻類を育てるための炭素源として利用する可能性を確認しました。

 

さらに当社では、ガルディエリアを、貴金属・レアメタル回収に用いるバイオ吸着剤として活用する技術開発も進めています。ガルディエリアは、金やパラジウムなどの有価金属を吸着する性質を持っており、製造工程の洗浄水や排水に含まれる低濃度の貴金属を回収することができます。

 

 

 

広島県庁をはじめとする関係者の皆様には、県内企業との接点もつないでいただきました。その一つが、福山市の柿原工業株式会社様との取組です。柿原工業様は、自動車部品向けの樹脂めっき加工を手がける企業で、製造工程ではパラジウムを含む洗浄水が発生します。当社は、ガルディエリア由来の吸着剤と前処理プロセスを組み合わせることで、既存の製造ラインを変えることなく、低濃度パラジウムを回収する仕組みを導入しました。

 

この取組は、広島で育った技術が、広島県内企業との連携を通じて、資源循環の現場へ展開し始めた事例です。当社にとって、広島県は単なる実証先ではなく、技術の可能性を広げる機会をいただいた重要なフィールドです。

 

今後も当社は、広島県を重要な実証フィールドの一つと位置づけ、県内企業の皆様と連携しながら、CO₂を活用したガルディエリア培養と、そのバイオマスを用いた資源循環技術の社会実装を進めていきます。広島でいただいた機会を、実装と事業化という形で還元できるよう、地域のものづくり現場に根ざしたカーボン・サーキュラー・エコノミーの実現に貢献してまいります。

著者プロフィール

福田 雅和
株式会社ガルデリア 取締役執行役員/事業開発担当。

微細藻類ガルディエリアを活用したCO₂利用培養技術、ならびに貴金属・レアメタル回収技術の事業開発、顧客開拓、社会実装に従事。
広島県内企業との実証を含め、カーボンリサイクルと資源循環を接続する事業開発に取り組んでいる。