次世代教育の一環として、広島県内の高校生を対象にカーボン・サーキュラー・エコノミーを学ぶ冬の特別イベントを開催しました。
将来的な、カーボンリサイクル関連技術の研究・開発等を担う人材育成に向け、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、一般財団法人カーボンフロンティア機構(JCOAL)との共催により、イベント「カーボンリサイクル×研究体験 カーボンリサイクル実証研究拠点特別見学会」を開催しました。大崎上島町にある国内最先端の研究拠点において、施設を見学しながら、最新技術の解説や実験の実演などを通してカーボンリサイクルの知識を深め、この分野に積極的な興味・関心を抱く契機としていただくことを目的として開催し、16名の皆様にご参加いただきました。
●開催日 2026年2月11日(水・祝)11:00~15:45
●開催場所 カーボンリサイクル実証研究拠点(広島県豊田郡大崎上島町中野6208-1)
■プログラム① カーボンリサイクル基礎講義
午前中のプログラムとして、広島県から二酸化炭素排出の課題や、2050年カーボンニュートラル実現に向けたカーボンリサイクルの重要性について説明を行った後、カーボンリサイクル実証研究拠点について、運営管理者のJCOALからご説明いただきました。カーボンリサイクル実証研究拠点は、「基礎研究エリア」「実証研究エリア」「藻類研究エリア」の3区域で構成されており、隣接する大崎クールジェン株式会社で分離・回収した二酸化炭素を利用したカーボンリサイクルの各種要素技術開発や実証研究が進められている、世界有数の研究施設であることをご紹介いただきました。
■プログラム② 研究者を交えた交流会
続いて、午後のプログラムの見学先である、一般社団法人日本微細藻類技術協会(IMAT)と東北大学の2者にご参加いただき、参加者と研究者との交流会を実施しました。参加者は、研究職に就いたきっかけや高校時代の得意科目、研究内容等の様々な興味・関心について積極的に質問し、和やかな雰囲気で意見交換を行いました。学校の授業では聞くことのできない貴重なお話に、メモを取りながら熱心に耳を傾けている様子や、他の参加者と、学校・学年の枠を超えて交流している様子が印象的でした。
参加者からは、「研究者の方の研究を始めたきっかけや、どのような実験をしているのかを直接聞くことができた」「好奇心から試したことが、今の研究内容につながっていると聞いて、試行を重ねることが大事だと思った」といった声が聞かれました。
■プログラム③ 研究施設見学・研究体験
午後からは、実際に拠点内の施設を巡り、2つの研究テーマについて詳しく学びました。普段は立ち入ることのできない貴重な研究現場を前に、参加者は興味津々で説明を聞いていました。
はじめに、IMATを訪問し、バイオ燃料やプラスチック原料など無限の可能性を秘めている微細藻類の培養・乾燥・抽出工程について解説いただきました。参加者は、実際の大規模培養設備や様々な解析設備を前に、「今ある培養プールでどのくらいの量の藻類が培養されているのか」「収穫までにどのくらいの時間がかかるのか」など、積極的に質問をしていました。
その後、IMATの会議室において、顕微鏡を用いて多種多様な藻類を観察したり、試験管に入っている藻類に溶液を滴下して抽出される色素の違いについて試したりと、実際に体験しながら世界に数十万種もいると言われている微細藻類の世界を学んでいました。
続いて共用棟に移動し、東北大学から、シリコン系廃棄物と二酸化炭素から次世代半導体材料であるSiC(炭化ケイ素)を合成する実験を実演いただきました。試料に電磁波を当てることで、シリコンが二酸化炭素と反応して数秒で高温になり発光すると、会場からは驚きの声が上がりました。反応後に二酸化炭素が固定されて試料の重量が増加することを確認し、廃棄物が新たな資源に生まれ変わることを観察しました。その後、実証研究設備をご案内いただき、とても大きな設備を前に興味深く話を聞いていました。
見学全体を通して、参加者からは、「顕微鏡を通してはっきりと藻類を観察することができたが、実際はとても小さいことに驚いた」、「藻類を培養するにも様々な方法があり、それぞれのメリットデメリットがあることが印象的だった」、「二酸化炭素だけでなく、シリコン系廃棄物も再利用するというアイデアが画期的だと感じた」「炭化ケイ素の合成に、身近な電子レンジの原理を使っていると聞いて驚いた」といった意見が聞かれ、参加者にとって、とても良い刺激になったことがうかがえました。
■まとめ
イベント全体を通して、未来社会への貢献が期待される技術である「カーボンリサイクル」について、研究者の解説や実験の実演、研究体験により、学校では学ぶことのできないような生物・化学の生きた知識を得ることができました。
参加者からは、「微細藻類の培養は自分とはあまり縁がないものに感じていたが、今回のイベントを通じて燃料やプラスチックなどの化学品に使われていると知り、すでに私たちの身近なものになっていると感じた」「カーボンリサイクル技術の中にも、二酸化炭素から新たな材料をつくったり、鉱物化により二酸化炭素を固定したり、藻類から燃料を作ったりと、様々あるということがわかった」、「講師の先生とお話しできる機会があり、質問にも丁寧に答えてくださってとても良い学びになった」などの感想・意見がありました。今後も、より充実させたプログラムの提供に向けて努めてまいります。
<協力企業等>
・一般社団法人日本微細藻類技術協会
・国立大学法人東北大学
<共催>
・国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
・一般財団法人カーボンフロンティア機構(JCOAL)






