呉工業高等専門学校の専攻科を対象としたカーボン・サーキュラー・エコノミーを学ぶ特別授業を開催しました。
将来的な、カーボンリサイクル関連技術の研究・開発等を担う人材育成に向け、呉工業高等専門学校の専攻科34名を対象に、カーボン・サーキュラー・エコノミーを学ぶ特別授業を開催しました。
●開催日 2025年11月18日(火)10:30~12:00
●開催場所 呉工業高等専門学校
■授業風景
講師として、公益財団法人中国地域創造研究センター 産業創造部 イノベーション推進グループ 主席研究員 江種 浩文 様にご登壇いただき、カーボンニュートラルの実現を目指す背景としての地球温暖化の現状や、二酸化炭素を資源として活用するカーボンリサイクル技術を具体的な事例を交えながらお話しいただきました。
日本では年間約10億トンの二酸化炭素が排出されており、二酸化炭素の貯留等の技術は安全性や土地の確保に問題があることから、二酸化炭素を分離回収したのちに、鉱物化や燃料、化学品の原料として再利用し、大気中の二酸化炭素排出を抑制するカーボンリサイクルが重要であることを説明しました。
また、国内では溶接や飲料中の炭酸等で年間約100万トンの二酸化炭素の利用がある中で、その多くを海外からの輸入に頼っている現状について触れ、地域で排出された二酸化炭素を地域で使う「地域CCU」が重要であることについてもお話しいただきました。
最後に、現在最も二酸化炭素の利用が進んでいるカーボンリサイクルコンクリートの事例について紹介し、今後は化学品や燃料の分野でのカーボンリサイクル製品の社会実装を進める必要があり、そのためには、安価な再エネ由来の水素をいかに調達できるかがカーボンリサイクルの社会実装に向けた鍵であると学びました。
また、その一方で、脱炭素に向けた新技術の開発により既存の雇用が失われるリスクがあることを示し、ものづくりが盛んな広島県では、カーボンニュートラル実現へ向けた取組の地域産業への影響が特に大きいため、人々の理解を得ながら、地域で一体となって持続可能な開発に取り組んでいく必要があることを説明いただきました。
特別授業を通して、学生からは「日本の二酸化炭素排出量の現状と、カーボンニュートラルを目指す到達目標の間のギャップは小さくなりつつもまだまだある一方で、カーボンリサイクル技術の発展が期待されると知り、その動きに遅れないようにもっと勉強したいと思った」「カーボンリサイクルが産業として注目されていて、広島でも技術開発が行われていることを知り、県内で就職する際には選択肢に入れてみたい」「2050年までにカーボンニュートラルを目指すために、自分たちの世代が現役で取り組まないといけないことをあまり考えられていなかったが、講演を通して当事者意識を持つようになった」との感想がありました。
■まとめ
生徒に対し、カーボンニュートラルの実現に向けた手段の一つにカーボンリサイクルという技術があることや、その重要性を伝える貴重な機会となりました。特別授業の終わりに多くの質問や意見をいただき、二酸化炭素の利用価値について深く考察していた姿や、前向きな意見・感想が寄せられたことから、次世代教育の重要性を改めて実感いたしました。こうした、将来的なカーボンリサイクル関連技術の研究・開発等を担う次世代との交流にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ事務局までご相談ください!
<協力>
公益財団法人中国地域創造研究センター



