Vol. 49
「身近な場所からカーボンリサイクル」
株式会社レブセルでは、大規模なプラントを利用しての二酸化炭素回収では無く、独自の二酸化炭素吸着剤を搭載した小型のDAC装置を開発する事で、オフィスや店舗、自宅のキッチンやリビング等でも手軽に二酸化炭素を回収できる事を提案しています。
また、二酸化炭素を吸着固定した使用済みのフィルター原料は、コップ等のガラス器や、マンホールピット等に使用する特殊コンクリートの原料として再利用する事で、新たな炭素循環経済を作り、持続可能な社会の実現に貢献しようと考えています。
ガラスに関しては、コップなどの製作に成功しており、製品としての質や強度に問題が無い事を、パートナーシップを組んでいるガラスメーカーから報告を受けています。またコンクリートに関しては、成分的に問題が無いことを確認しており、近々製品化に向けての強度試験をコンクリートメーカーと行う予定になっています。
我々のカーボンリサイクルは、回収した二酸化炭素を原料としてガラスやコンクリートに再利用するのですが、ガラスに関しては、ガラス炉にて原料を溶かす段階で、フィルターに吸着固定した二酸化炭素を再度放出してしまいます。このプロセスは、元々二酸化炭素を固定していた地下資源材料を溶かす事で製造される通常のガラスと違い、二酸化炭素を再放出しても元々空気中に有った二酸化炭素である為、総量としての二酸化炭素量は変わらない事になり、原料ベースではカーボンニュートラルという事になります。コンクリートに関しては、重量当たり10%の二酸化炭素を固定できることが分かっていますのでカーボンネガティブにする事ができます。この特殊コンクリートは、マンホール以外にもトンネルの内壁補修や、塩害に強い為、海沿いにある風力発電の基礎にも使う事ができます。因みに1トンクラスのマンホールであれば100Kg程度の二酸化炭素を固定する事が可能になります。
将来のイメージとしては、地域や企業ごとに二酸化炭素を回収し、吸着済みのフィルターをその地域のマンホールピットなどのインフラ整備や、自社で使用するガラス器や、お客様用のノベルティーグッズなどに再利用する事で、地産地消のカーボンリサイクル、自己消費型のカーボンリサイクルを実現していきたいと考えています。
我々レブセルは、大規模な二酸化炭素回収技術に対抗する事は考えておらず、身近なところから意識改革を進めていく事が重要であり、その事が政府や大手企業が進めている大規模な事業の後押しに繋がればと考えています。
この喫緊の課題を解決する為には、一人一人の意識改革が重要なのではないでしょうか
著者プロフィール
山本 健二株式会社レブセル代表取締役
山梨県出身
2014年5月に株式会社レブセルを設立。
高気圧酸素カプセル事業、感染症対策設備事業を立ち上げ、2022年よりカーボンリサイクル事業に従事。