リレーコラム

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CARBON CIRCULAR ECONOMY

Vol. 43

「“未来の価値を、いまつくる。” 常石グループの取り組み」

私ども常石グループは、海運・造船を中心に5分野の事業を展開しております。このたび当グループのカーボンニュートラルに向けた取り組みについてご紹介させていただく貴重な機会を頂戴しましたので、当グループの事業概要や大切にしている姿勢をご説明した上で、私たちの取り組みをご紹介いたします。

 

常石グループの事業は、海運、造船、エネルギー、環境、ライフ&リゾートの5分野に大別されます。

 

海運事業 ・・・ 定期コンテナ船やばら積み船など外航海運、タグボートなど内航海運、荷役・通関・倉庫といった国際物流業務

 

造船事業 ・・・ 外航船舶や小型内航船舶の建造・修繕、鉄鋼構造物の製作、電炉による鋼塊・鋳鋼品製造など

 

エネルギー事業 ・・・ 船舶燃料の販売、サービスステーションの運営、自動車関連事業(車両販売・車検・修理、貨物輸送)、再エネ設備等を含めた電気供給・販売

 

環境事業 ・・・ 廃棄物収集運搬、廃棄物中間処理(焼却、溶融、焼成)、最終処分(管理型埋め立て)、リサイクル、船舶廃油の処理・再生、計量証明事業、汚染土壌処理など

 

ライフ&リゾート事業 ・・・ 瀬戸内海クルーズ船「guntû」やリゾートホテル「ベラビスタ マリーナ&スパ」、遊園地「みろくの里」の運営、地産地消の複合施設運営「ONOMICHI U2」など、地域の魅力を再構築し新たな発見と顧客体験を提供

 

 今より100年あまり前、機帆船での九州の石炭輸送から海運事業が始まり、造船事業、エネルギーや環境事業など、事業規模の成長、多様化に合せ関連事業を興してまいりました。また造船事業では、日本国内のみならず当時困難と考えられていた海外進出も果たし、フィリピン国セブ島と中国浙江省舟山に生産拠点を持っております。

 

 この造船事業の海外拠点におきましては、現地の求職者に対して技能の育成、伝承を丁寧に行う体制を整えるだけでなく、その地域に根付いた企業として成長していけるよう、会社で働く人やその家族はもとより、事業を取り巻く多くの人や社会の存在をしっかり意識し、共に成長しようとする姿勢を続けることを大切にして取り組んでまいりました。

 

 さて、国際海運のCO2排出量は世界で年間9億トン余り、全体の2.5%程度と試算されています。そのほとんどは運航の際に排出されます。私たちの建造/保有船が排出するCO2量を2050年までにゼロにする。この目標に向けたロードマップを昨年策定し、二元燃料船建造を足がかりにカーボンニュートラルに向って大きく舵を切りました。

 


株式会社商船三井および三井E&S造船株式会社と共同で開発を進める、アンモニアを燃料とするネットゼロ・エミッション外航船(イメージ)

 


水素混焼エンジンによって駆動する水素燃料船「Hydro BINGO」(2021年竣工)

 


騒音や振動が少なく、排気ガスを排出しない電気推進旅客船「fugan」(2015年竣工)

 

また、当グループでScope1が比較的大きい環境事業においては、CO2削減に向けた技術開発に取り組んでいます。産業廃棄物の焼却前処理として徹底した資源の回収や焼却時のCO2回収、焼却灰を再資源化して最終処分場への埋め立てゼロを目指すなど、現在、研究機関とともに廃棄物の100%リサイクルを進めております。

 


焼却灰から製造された人工砂(アークサンド)

 

「未来の価値を、いまつくる。」

 

地域とともに成長し、社会そして地球のサステナビリティを支える一員であり続けるために、私たちはこのスローガンのもと、明瞭な目標を持って取り組みを着実に進めてまいります。

著者プロフィール

著者プロフィール
筒井 匡(つつい ただし)

ツネイシホールディングス株式会社
サステナビリティ推進グループ 課長

これまで主に新規事業開発や海運関連業務に従事。
2022年より現部署に所属。愛知県出身。