リレーコラム

CONTACT

CARBON CIRCULAR ECONOMY

Vol. 36

「脱炭素化等のSDGs達成に資するお客さまの事業活動を支援する
“ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)”のご紹介」

1.当社グループのカーボンニュートラル宣言とサステナブルファイナンス目標

 

 三井住友トラスト・ホールディングス株式会社は、全世界で加速するGHG排出量削減に向け、2021年10月にカーボンニュートラル宣言を行いました。

 


(出典)2021年10月20日付三井住友トラスト・ホールディングス株式会社リリース「三井住友トラスト・グループ カーボンニュートラル宣言及びNet Zero Banking Alliance(NZBA)への加盟について」

 

 

 加えて、当社では、脱炭素化に向けた資金需要が高まることを受け、「2021年度から2030年度までの10年間で累計10兆円のサステナブルファイナンス実行」を長期目標として掲げています。
 サステナブルファイナンスは、持続的な社会を実現するためのファイナンスです。主な商品には資金使途が限定されたグリーンファイナンス、ソーシャルファイナンス、サステナビリティファイナンスや資金使途が限定されない“ポジティブ・インパクト・ファイナンス”(以下PIF)、サステナビリティ・リンク・ファイナンスなどがあります。

 

 

 

2.PIFの概要

 

 PIFは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)が提唱するポジティブ・インパクト金融原則に則して評価を行うファイナンスです。企業活動が経済・社会・環境にもたらす“インパクト”を業種・事業エリア・サプライチェーンの観点で包括的に分析・評価した上で、「ポジティブ・インパクトの増大」と「ネガティブ・インパクトの低減」について目標・KPIを設定し、その実現に向けた継続的なエンゲージメントを重視するものです。
 PIFの特徴として、金融機関などが融資に際して企業のサステナビリティ活動を評価し、第三者評価機関が当該評価へのレビューを行う事が挙げられます。融資先企業においては、金融機関などが評価したサステナビリティ活動をステークホルダーに対してPR出来るメリットがあります。
 当社は、2019年3月に世界で初めて*¹PIF(資金使途を限定しない投融資タイプ)を実行致しました。2022年12月末現在、当社の取組件数は41件となっています。また、2021年12月には食品トレー製造業の株式会社エフピコ様において、中国地方で初めてPIFを実行致しました。PIF取組にあたって、株式会社エフピコ様がSDGs達成に対しインパクトを与える①「『エフピコ方式リサイクル』でのプラスチックごみ流出の防止及び最終処分率低減への貢献」、②「エコ製品販売によるCO2排出量削減への貢献」、③「障がいのある人材の活躍推進」のテーマについて定性的、定量的に評価しました。
*1:当社調べ

 

(出典)2021年12月27日付株式会社日本格付研究所様リリース「三井住友信託銀行が実施する三井住友信託銀行株式会社が実施する株式会社エフピコに対するポジティブ・インパクト・ファイナンスに係る第三者意見」

 

 

 

3.PIFの地域金融機関における拡大

 

 地域金融機関においてもPIFは浸透し始めています。2022年9月末時点では、全国21の地域金融機関で取組開始しており、取組件数140件、融資金額は約240億円(金額公表ベース)に至っています。*²
 当社は、これまでのPIF取組実績を基に各地域金融機関のPIF導入に関してもサポートさせて頂いております。当社からのサポートメニューは、行内整備をはじめ個別評価書の作成支援といった項目となります。
 当社では、PIFなどのサステナビリティに関するソリューションの提供により、脱炭素化等のSDGs達成に資するお客さまの事業活動を支援するとともに、お客さまの中長期的な企業価値の向上に貢献することを引き続き目指していきます。
*2:当社調べ

著者プロフィール

志風 公士(しかぜ こうじ)
三井住友信託銀行株式会社 広島支店長 兼 広島中央支店長
1996年(住友信託銀行株式会社)入社。
入社後は本店営業第一部をはじめ、法人営業を中心に従事。
金融法人部 次長、資産金融部 副部長等を歴任し、2022年7月より現職。