Vol. 51
「触媒を使った廃プラスチックや有機廃棄物の利活用に向けた取り組み」
AC Biode株式会社は、2019年4月に創業した化学、材料科学、電子工学をベースにしたクリーンテックのスタートアップです。「地球の温暖化ガス削減とグローバルなごみ問題解決・リサイクル率向上に貢献する」をミッションに掲げ、廃プラや有機廃棄物の解重合触媒、交流電池、吸着剤などを開発・展開しています。欧州連合EU傘下半官半民のVC: EIT InnoEnergyやジェネシアベンチャーズ等から資金調達し、日本(京都、京都けいはんな、東京)、ルクセンブルク、英国に拠点を設けています。当社は、大学発祥ではなくゼロから立ち上げた会社です。
ここでは、①廃プラの触媒によるケミカルリサイクルと、②有機廃棄物の触媒による水素や一酸化炭素への分解について、弊社の持つ技術と取り組みを紹介します。
1)廃プラスチック解重合触媒
現在様々な廃プラ解重合のテストを行っており、例えば、PETをメタノールまで解重合することに成功しています。これは、弊社が開発した世界初(当社調べ、2023年11月)の技術であり、180から200℃の加圧した水で、有機溶媒や貴金属を使った触媒を使用しない場合での反応です。エチレングリコールが解重合されメタノールとなり、テレフタル酸は水の底に沈む形で取り出すことができます。
並行して、他の種類の廃プラや混在しているもの、汚れた廃プラ、PVC等の解重合試験も行っています。この技術を用いることにより、将来的には従来リサイクルできていなかった廃プラスチックのケミカルリサイクルを実現したいと思います。
2)有機廃棄物分解触媒
現在様々な有機廃棄物分解のテストを行っており、例えば、食品残渣や非可食性農業廃棄物、下水汚泥、製紙汚泥を、上記と同じ条件で水素、一酸化炭素に分解することが可能な技術を開発しました。両方とも当社にて特許を申請済です。
弊社の技術は、エネルギー、SAF、水素等の分野と連携し分散型のリサイクル、従来リサイクルできていなかった有機廃棄物をリサイクルして生かすことができます。
ご関心ある方は、お気軽にお問い合わせください。
著者プロフィール
久保 直嗣AC Biode株式会社 代表取締役社長
英国Cambridge大学院経営学修士(MBA)
慶應義塾大学環境情報学部卒
商社にて12年間、アフリカ・中南米向けの機械、プラント、再エネ等の営業・ファイナンスを担当
CTO水沢と共同で、日本と英国にて起業