リレーコラム

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CARBON CIRCULAR ECONOMY

Vol. 26

「当社のカーボンニュートラル取り組み “今すぐできる脱炭素を”」

 当社は金属の溶解、加熱・熱処理する設備を製造している工業炉メーカです。広島県安芸津町に創立後73年を迎えます。現在では売上の約半分は自動車会社向けアルミニウム用溶解炉・熱処理炉、残りは鉄製品向け加熱炉・熱処理炉及び溶融亜鉛めっき炉を受注・納入しています。又、弊社実績の工業炉熱源は9割が化石燃料、残り1割が電気を使用しています。
 弊社のカーボンニュートラル(以下、CN)方針は、「自社製工業炉のCO2排出量を2030年までに1/2を目指す。」としており、電化・カーボンフリー燃料を用いた工業炉開発に取り組んでいます。
 “今すぐできる脱炭素を”というキャッチフレーズを合言葉に省エネルギー推進活動を行っており、CNに近づけるべく営業活動・顧客への提案を進めています。
 一つの事例として、アルミ溶解炉で熱源としていた従来の重油や都市ガスの化石燃料を電気に変える『オール電化アルミ溶解炉:S-MIC』シリーズのご提案をしております。

 

<燃焼式アルミ溶解炉>
現在は化石燃料を用いた燃焼式のアルミ溶解が殆どとなっています。

 

<Super S-MIC(電気ヒータ式アルミ溶解炉)>
2022年受注2023年納入予定

 

<電気・化石燃料燃焼のハイブリッド方式アルミ溶解炉>
2022年受注 2022年9月納入完了予定
電気100%では導入に至る一次電力設備などの制約が大きい。
その対応として溶湯保持は電気ヒータで行い、必要熱量が大きい
溶解部には燃焼バーナーを用いたハイブリッド溶解炉として販売。

 

  S-MIC(シリーズ)は以下の特徴があります。
・100%電気のアルミ溶解炉(国内での溶解炉としては唯一)
・排ガスの発生がゼロとなり、排出による熱ロス分がなくなり省エネとなる。
 CO2の排出もないので環境にやさしい。
 最新型のSuper S-MICは燃焼方式よりも30%の省エネルギー
・グリーン電力を採用する、あるいは将来的に電気製造時のCO2発生が無くなれば、Scope2においてもCNな溶解が可能となる。
・国内自動車メーカーグループからSuper S-MICシリーズを2基受注。
 2023年初頭納入予定。
 他の自動車会社様からも今年度内発注が予定されている。

 

  他にもCN取り組みとして、「電化」・「省エネ設備提案」の事例がございます。
 電化は既存燃焼式設備を電気式に変えるもので、アルミ熱処理設備などで直近では6件、次世代電化設備の基本構想検討が1件ございます。
 省エネルギー設備提案としては、今現在はほぼ全ての案件で提案をさせて頂いております。例を挙げれば加熱温度1,400℃~1,000℃ではリジェネレイティブバーナー方式、1,000℃~400℃の温度帯ではレキュペレーター内蔵型バーナー方式を提案させて頂いており、排ガス熱エネルギーを回収するシステムを提供しています。

 

 弊社の新技術開発の取り組みとして、NEDO エネルギー・環境新技術先導研究プログラム「アンモニアを燃料とした脱炭素次世代高性能工業炉の基礎研究」へ参加をしています。アンモニア燃焼は日本が先行している分野でもあり、工業炉へ取り込めるよう燃焼基礎技術開発へ寄与して参ります。
 又、弊社敷地内の製作工場内には水素燃焼テスト炉を建設。顧客要望に合わせた各種テストを行い製品への水素の影響や水素燃焼のノウハウを調査し活用中です。

 

<弊社工場内設置の水素燃焼設備>

 

 工業炉メーカはまだ「CO2回収技術」、「低温排熱の有効利用」に関し有効な手段を持ちあわせておりません。貴協議会様と一緒に「チームHiroshima」として上記の課題に取り組み、地球環境の保全に貢献させて頂きたいと考えております。

 以上、三建産業株式会社が取り組むCN活動・方針についてご紹介させて頂きました。
 本稿の皆様が今後脱炭素・CNを取り組まれる上で少しでもお役に立てれば幸甚です。

著者プロフィール

高橋 明成(たかはし あきなり)
三建産業株式会社
香川県出身、1991年入社。 工業炉の営業部門・メンテナンス部門に従事。
2022年から開発営業として現職。